《 ご挨拶 》
公益財団法人煎茶道方円流
二世家元 水口豊園
お茶は、日常茶飯事という言葉ができているほど、私たち
の生活にすっかり溶け込んでいます。
親しい友人との歓談のひとときに出される一碗の茶は、私
たちの心をなごませ、会話を一段とはずませてくれます。
また心静かに一人味わうお茶は、芳しい香りが五臓にしみ
わたり、心身に安らぎを与え、深い生の息吹を感じさせま
す。煎茶道は、こうしたお茶を最もおいしく、そして楽し
くいただこうとして作法化されたものです。
お茶は、趣味としてすぐれているばかりでなく、人間形成
にも役立ちます。一つのお手前の所作には、およそ半時間
近い時間を要します。その間、緊張の連続です。
その錬磨の積み重ねは、ともすれば惰性に流されがちな私
たちの生活に気合いを吹き込み、生き甲斐を感じさせてく
れます。また、何げない物腰にも、しとやかさと奥床しさ
が身につきます。 内面からにじみ出る魅力こそ、真の美
しさと申せましょう。
方円流は、平等の精神、人間愛の心、個人の尊重といった
煎茶の心を、お茶を通して多くの人たちに伝えたいと願っ
ております。
また、平凡の中に非凡の精神を宿す日本文化が世界の文化
に通じる道と考え、その一翼を担う煎茶道文化の普及発展
に寄与したいと願っております。